ソーリン劇場がないじゃ、話になるまい。トレープレフだから、新しい形式が必要なんですよ。新形式がいるんで、もしそれがないんなら、いっそ何にもないほうがいい。これは、チェーホフの戯曲《かもめ(》神西清訳『かもめ・ワーニャ伯父さん』より)の一節です。戯曲であるこの物語は演じられることを前提としており、登場人物の中身は全員役者で、彼らの立つ場所は文字通り劇場の舞台だとも言えます。そして、劇中劇が象徴するように、演劇自身について語る演劇でもあります。2018年夏、東京都北区王子のコ本やhonkbooksにて開催の二人展「かもめかもめ」で、山中は分解した戯曲をフォトフレーム内に再構成し、池は文庫版戯曲《かもめ》の文章上にプロジェクションを行うことで、それぞれアニメーションによる
《かもめ》の演出を試みました。戯曲という《本》をアニメーションにしたその展示を、今回改めて《本》の形に戻します。

『かもめ(時間、哲学、生活、恋、死)』冊子:紙/A5変形/700円/映像:デジタルフォトフレーム/130×210mm/23,000円(冊子とのセット価格)
『すきまのかもめ-bookedition-』紙/3,000円
『動くかもめポストカード』ポストカード/300円

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